新潟県十日町市は七つの市町村が合併してできた町だ。山間部が広く面積を占めるが、各地区では木造の校舎も多く残されている。2000年に始まった「大地の芸術祭」の作品会場となっている学校が多く、地域の歴史と卒業生たちの面影が感じられる廃校が多い。
十日町市の中心部から西へ約6km、山あいの道を上っていくと「鉢」という集落に着く。ここは全員が「尾身」性という珍しい集落だ。
小学校は2005年に閉校となったが、2009年の越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」で絵本作家の田島征三氏により「絵本と木の実の美術館」としてリニューアルされた。実在した最後の卒業生3人と、学校に住みつくオバケたちとの物語として構成され、体験型の“空間絵本”美術館として訪れる人を楽しませている。カフェやグッズ売り場もあり常設館(冬季は休館)として人気を呼んでいる。
周囲は山と田んぼに囲まれ、校舎裏のプールは今では草に埋もれそう・・・
豪雪地帯の農村として過疎化の課題に直面してきたが、集落の住民の団結力と芸術祭を推進するNPO法人の力により、地域活性化の核として活用されている。
十日町市街地から東方面へ車で山道を上って30分くらい。山あいの東枯木又集落の奥にこの学校はある。
創立は1884年という。1908年に当時の中条村立飛渡第二尋常小学校枯木又分教場と改称された。その後、村立中学校の冬季分校ともなった。そして2007年に十日町市立中条小学校枯木又分校の名を最後に閉校となった。
2008年から京都精華大学有志の「枯木又アートプロジェクト」が継続され、アートトリエンナーレ大地の芸術祭の作品会場となっている。
周囲の環境、校舎の外観、校舎内の廊下や階段、教室、体育館…どれをとっても過去の雰囲気を残した素晴らしい廃校だ。
枯木又地区から南へひと山超えた場所で、こちらも山間部にポツンとある学校だ。
大池小学校赤倉派出場として1883年に開校し、1981年に独立して赤倉小学校となる。そして2003年に閉校。小さな校舎の裏手に校庭と雑草に覆われたプールがある。2018年のトリエンナーレでは作品会場となり、タイ人作家が全住民たちを取材した映像と音声で、地域の歴史と記憶を再現した。
観光地として人気の清津峡を通る国道353号沿いにある学校で、現在は「越後妻有soko美術館」としてアート作品などが常設されている。
1875年の創立。1960年に中里村立清津峡小学校、2005年に十日町市立清津峡小学校となり、2009年に閉校。校舎は1994年に改築されたものが現存していて、近代的な建物である。
1874年に前身の室野小学校として開校し、1984年に室野小学校と峠小学校が統合されて奴奈川小学校となった。校舎はこの時に新築されたもので、比較的新しい。2014年に閉校となった。
2015年からは大地の芸術祭の会場「奴奈川キャンパス」として活用されている。
きれいに整備された校舎のバルコニーからは、広い校庭の向こう側にこの地域らしい民家と林が見渡せる。
1875年に浦田口分校東川校として創立し、1897年に現在地に改築移転。1958年に東川小学校となり、1997年に閉校。
日本三大薬湯といわれる松之山温泉の南側で、国道から山あいに入り込んだ場所にある。現在は大地の芸術祭の会場として会期中は活用されているが、「最後の教室」という作品の性格上、校舎内の状況は把握できないのが残念。