群馬県の北西部に位置する吾妻郡中之条町。昭和30年に旧中之条町、沢田村、伊参村、名久田村の4町村が合併し、さらに平成22年に六合村が合併してできたのが今の中之条町だ。

この町では廃校となった校舎の保存、活用が推進されていて、今でも歴史ある木造校舎が数多く残っている。

旧名久田(群馬県中之条町横尾)

昭和22年に名久田中学校として開校し、昭和63年中之条中学校名久田教場となり、平成2年に新校舎完成により閉校となった。

その後は平成22年からデイサービス施設として使われていたが、耐震性の問題もあり閉園。今も古びた木造の校舎と大きな体育館が残り、「2017中之条ビエンナーレ」の会場としても使われた。広いグラウンドはゲートボール場として高齢者の憩いの場となっている。 


旧名久田小学校栃窪分校(群馬県中之条町栃窪)

明治23年に栃窪簡易学校として創立、明治42年に名久田尋常高等小学校栃窪分教場、昭和24年に名久田小学校栃窪分校となった。現存の校舎は、昭和34年の伊勢湾台風で旧校舎倒壊後に建てられたものである。昭和50年に児童数の激減により閉校、85年の歴史を閉じた。 

県道231号を山深い場所まで上っていき、小さな集落の頂上部に校舎が現れる。人の気配も感じない林の中にひっそりと建っている。1996年の映画「月とキャベツ」のロケ地となったこともあり、今でも訪れる人がいるという。


旧第四中学校(群馬県中之条町五反田)

昭和22年伊参村立伊参中学校として開校、昭和41年中之条町立第四中学校となり、平成2年に統合により閉校となった。

木造のままでありながら、よく手入れされた2階建ての美しいな校舎だ。 

1996年に群馬県の企画、制作による「眠る男」の撮影拠点として使われ、以降は「伊参スタジオ公園」として、群馬県をロケ地とした映画作品の展示・資料館として一般公開されている。「2017中之条ビエンナーレ」の会場、そして毎年の秋には「伊参スタジオ映画祭」が開催されている。

 

伊参スタジオ公園→


旧五反田学校(群馬県中之条町五反田)

明治11年に創立。現存の校舎は、明治42年に当時の最高技術をもって、五反田村中の力を結集して建てられたものといわれている。木造平屋建ての板葺き・合掌入母屋造り(現在は、亜鉛鉄板葺き)で、間口は二十八間(50.9m)、奥行き五間(9.0m)。明治時代の小学校建築が改造されずに残り、差込み式の窓の鍵などもそのままだ。

 

明治26年五反田尋常小学校、昭和22年伊参村立伊参小学校、昭和41年中之条町立第四小学校、その後第二分校として昭和44年に閉校した。昭和63年に町指定重要文化財となり、今は地域の交流施設として活用されている。「2017中之条ビエンナーレ」の会場。

 

形の整った美しい外観と共に、教室、廊下、職員室などの懐かしい雰囲気がたまらない学校だ。


旧第三小学校(群馬県中之条町四万)

国道353号線から四万の温泉街に入り、急坂を上り切った場所にある。

明治5年に四万小学校として創立。その後、学区改正や改称を繰り返したのち、昭和25年、沢田村立四万小中学校となる。昭和54年に中之条町立第三小学校となり、平成12年に統合により閉校となる。

白い木造校舎が美しく、校庭には当時を偲ばせる遊具が残っている。趣のある階段と手すりの傷が歴史の深さを感じさせる。

「中之条ビエンナーレ」の会場。


旧吾妻第三小学校(群馬県中之条町中之条)

明治18年創立、和洋折衷の木造2階建てで、明治時時代初期の学校建築の特徴をよく残している。女子尋常高等小学校を経て、大正7年から昭和53年まで町役場として利用され、同年に群馬県指定重要文化財となる。昭和55年に保存改修が行われ、現在は中之条町歴史民俗資料館「ミュゼ」として活用されている。 凹型の白壁校舎が美しく、内部には学校時代に使われていた机や椅子、オルガン、ストーブなどが展示されている。

 

中之条町にはその他にも、旧伊参小学校(「イサマムラ」としてアーティストのアトリエとして活用)、旧沢田小学校など、近年に閉校となった小学校もあり、これらの廃校も「中之条ビエンナーレ」の会場として活用されている。