北海道の美瑛町は丘の風景が美しい場所として、日本全国はもちろん海外からも多くの観光客が訪れる。しかし人口減少の波はここも同じ。通学が遠距離で雪の多いこの地でありながら、平成に入ってから多くの小学校が閉校となっている。
一方で、観光地のメリットを活かしながら、閉校後の再活用としてはかなり先進的に生まれ変わっている事例も多い。
美瑛町の中心部から西側に位置する五稜の丘。町全体のなだらかな丘風景と遠くに十勝連峰を見渡す絶景ポイントだ。その入り口付近の集落に旧五稜小学校がある。
現存の校舎は昭和55年築で平成17年3月に閉校となっている。玄関の壁面には卒業生たちが自分の名前を塗料で書き残している。
校舎の活用方法は運営者の公開募集等で今後検討されていくようだ。
パッチワークの丘の西端部で五稜地区の手前に位置する美田地区。周辺には牧場が点在する。
旧美田小学校は平成17年3月に閉校となり、現在は「森と農の美田学舎」として、農村で起業する人たちへの支援や社会的雇用促進を行っている。また、敷地内には「美田へき地保育所」がある。
平地の開かれた場所に立地し、広い校庭とベージュの外壁と朱色の屋根の校舎は、明るく温かみを感じる廃校風景だ。
<旧千代田小学校>写真左
美瑛を愛した風景写真家、故前田真三氏の写真ギャラリー「拓真館」として美瑛町の観光スポットだ。
昭和46年10月に閉校となり、昭和62年にギャラリーとして開館している。建物周囲の白樺林や、旧校庭部分の季節毎のお花畑も美しい。
<旧北瑛小学校>写真中
パッチワークの丘では観光スポットとして有名なセブンスターの木や親子の木の入り口に位置する北瑛地区。
旧北瑛小学校は平成18年3月廃校。「北瑛小麦の丘」として、安全で美味しい食づくりの体験交流施設に生まれ変わった。また敷地内には、レストラン、ホテル、パン工房が併設された「bi.ble(ビブレ)」がオープンし、美瑛の食材でここでしか味わえない空間を提供している。
<旧西美小学校>写真右
美瑛町の中心部から南西に位置する留辺蘂(ルベシベ)地区。観光ルートからは外れた静かな丘の風景が広がる。
旧西美小学校は平成15年3月に閉校。現在は「西美体験交流館」として生まれ変わり、俳優の榎木孝明さんの水彩館「創造の杜美術館」が中心施設となっている。作家の水彩画110点が展示され、写真とは違った「丘のまちびえい」の風景を楽しめる。